海は青いと知っていた

何処かで会ったことがあるかもしれないし、見たことがあるかもしれないし、或いは、ナニカを読んだことがあるかもしれない。

けれど、今この私に相応しいのは初めましてだと思うから。

初めまして。

 

元来文章が好きだった。

子守唄より絵本を好むような、可愛気のない子供だった。

物語が好きだった。ストーリー性の無いものには心惹かれることは無くて、物語のように生きている。

虚構か現実かなんて、誰にも分からない。

 

教室の隅で息を殺していたあの頃、本は私の世界だった。

 

人間が好きだ。そして、大嫌いだ。

それでも人間がつくるこの世界が好きで、こうして息をして、目を開いてそれを見ている。

 

一貫性のあるものが好き。だから、私はきっと同じことしか言わないし、同じことしか伝えようとしないだろう。

 

世界と己との薄い膜のような隔たり、それをすり抜ける愛情、そして、毎秒死に向かう私達。

 

1秒1秒私たちは死んでいる。昨日のあなたも私もどこにもいない。

それなら、私は。1秒1秒を、大切に、殺したい。

 

今は伝わらなくてもいい。

只、数秒前のあなたが、何かを感じてくれているなら嬉しいな、と思う。

伝えてみせるから、どうかお互いに幸福に、今を生きてゆきましょう。

 

それでは今夜は、左様なら。

 

海々うみといいます。